令和7年度施策方針(令和7年2月21日)
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市政全般にわたる報告
本日ここに、令和7年第1回かほく市議会定例会を招集致しましたところ、議員各位には、公私とも何かとご多用のところご出席を賜わり、厚くお礼を申し上げます。
開会にあたりまして、一言、ご挨拶を申し上げます。
1年間の市政状況等
早いもので、令和6年度も残すところ、あと一か月余りとなりました。
令和6年度は、能登半島地震からの復旧・復興を、最優先課題として取り組んでまいりましたが、道路や上下水道施設などのインフラ施設における本復旧には、なお相当の年数を要するものと考えております。液状化の被害が甚大な大崎地区においては、一部で公費解体や宅地の復旧が進んでいるほか、新たな住宅の建築も数件程度見受けられ、復興の歩みが少しずつではありますが、前に進んでいる状況にあります。
市といたしましては、今後とも被災された皆様にしっかりと寄り添いながら、一日でも早い復旧・復興に向け、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。
さて、昨年は、かほく市が誕生してから20周年という節目を迎えましたが、震災への対応を進める中、3月24日に執行された市長選挙におきまして、多くの皆様からの信任を得て、6期目の舵取りを担わせていただくこととなり、皆様からの信頼とご期待にお応えするため、さらに住みよさを実感できるまちづくりに、全身全霊を傾けて取り組む決意を新たにしたところでありました。
また、国政においては、昨年10月に新たに石破内閣が発足しましたが、その後執行された衆議院議員総選挙の結果、自民・公明の与党は、改選前の議席を大きく減らし、現在開会中の国会審議において、来年度の当初予算を含めた議論に、今までとは異なる対応を求められているところであります。
一方、国内の経済状況は、賃金の引上げにより、雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復が続くことが期待されており、国全体としては経済の好循環が現れつつあるようです。しかしながら、国際情勢の不安要素や、最近の物価高騰、金利の動向など、今後も多方面において懸念材料があり、市政の運営にあたっては、国、県との連携をさらに深めながら、市民生活の下支えに努めていく必要があります。
こういった社会情勢の中、令和6年度は、「能登半島地震からの復旧・復興」を1番目の柱とし、最優先に取り組むと同時に、「第2期総合戦略」の最終計画年として、これまで実施した施策を評価しながら、「魅力ある持続可能なまちの創造」、「子育て支援の充実と学びの環境づくり」、「健康といきがいの推進」、「安全で安心な暮らしの実現」の5本の柱を基軸に、震災からの復旧をはじめ、賑わいの創出や、子育て支援、定住促進などに取り組み、しっかりと各施策を実践してまいりました。
全国的に人口が減少している中、かほく市では、これまでの取り組みが実を結び、10年連続で人口が増加する見込みとなっております。今後も、この流れを止めることなく、引き続き「地方創生」を推進するため、各種施策に取り組んで行く必要があると改めて感じております。
ここで、令和6年度の主な事業内容について改めて振り返ってみますと、まず、重点的な取り組みの1つ目である「能登半島地震からの復旧・復興」についてでありますが、庁舎や学校、体育館などの公共施設につきましては、一部に令和7年度にかけて執行するものもありますが、ほぼ復旧工事を完了しております。道路や上下水道等の公共インフラ施設につきましては、昨年12月に国の災害査定を完了しており、順次復旧工事を進めておりますが、液状化による被害を受けている地区については、応急復旧は終了しているものの、土質調査の結果や工法の検討が必要となるため、国との調整が済みしだい、本格的に復旧工事に着手する予定としております。
なお、大崎地区においては、令和7年度に再液状化を防止するための工法選定に向けた実証実験を行い、令和8年度中には、観測データ等の分析を行った上で、関係者の皆様に対する対策工事に伴う影響についての説明を重ねながら、対策工事についての合意形成を図ることとしております。
また、みなし仮設住宅の家賃補助や宅地の復旧支援、市の単独支援分を含めた被災者生活再建支援金など、被災者への直接支援にかかる災害対策事業につきましては、順次対応をしておりますが、大崎地区をはじめとした液状化被害が発生した地区については、災害復旧事業、災害対策事業ともに、令和7年度以降も多額の予算の計上が必要になると考えております。
次に重点的な取り組みの2つ目である「魅力ある持続可能なまちの創造」についてであります。
これまで、「定住促進策」の柱として取り組んで参りました「若者マイホーム取得奨励金」や「新婚さん住まい応援事業」につきましては、震災の中にあっても、これまで同様に大変多くの申し込みを頂いております。「若者マイホーム取得奨励金」では、1月末までの申し込み件数が168件、「新婚さん住まい応援事業」では75件と、震災前と同様に、引き続き若い世代の方々に、かほく市を選んでいただいている状況となっております。今後とも、かほく市を選んで、そして住んでもらうために、さらに、市の総合的な施策を推進することで定住に繋げてまいりたいと考えております。
次に、スポーツ文化の拠点施設として、市がこれまで整備を進めてまいりました、総合体育館「とり野菜みそ BLUECATS ARENA」が、4月に開館し、これまでにバレーボール女子の日本代表チームによるチャリティーマッチや、S5リーグのオールスターゲームが開催され、国内最高峰のプレーを間近で体感することができました。
また、少子高齢化や核家族化などで多様化するお墓のニーズに対応するため、整備を進めていた「合葬墓」につきましては、6月から供用を開始しましたが、市内外から多くのお問い合わせを受け、1月末現在で170件の利用申込みをいただいております。
さらに、令和5年度から放送局舎や電源施設の移設に着手しております「ケーブルテレビ棟」の建設と設備の更新についてでありますが、現在、高松サブセンターも含め、放送用機器や光伝送装置の更新を進めており、今年度末で完了する見込みであります。
次に、3本目の柱「子育て支援の充実と学びの環境づくり」についてであります。
まず、子育て支援策でありますが、児童福祉と母子保健の窓口を一本化し、妊産婦や子育て世帯などに対し、一体的な支援を行っていくため、既存の子ども総合センターの機能を拡充した「こども家庭センター」を宇ノ気生涯学習センター内に開設いたしました。センターには、保育士、保健師、社会福祉士や公認心理師など、専門性を有する職員を配置し、妊娠・出産・子育てに関する相談などに、寄り添いながら、しっかり見守っていく体制を、さらに充実してまいりたいと考えております。
こども園につきましては、これまでの子育て支援策や定住促進策の推進により、市内こども園等への入園希望者が年々増加していることから、官民一体となって、園児の受け入れ体制の確保に努めているところであります。
また、市独自の事業として取り組んでおります保育料の軽減策や「副食費」の無償化についても継続して実施しており、多様化する保護者ニーズへの対応を充実させております。
高校生を持つ家庭に対しても、通学定期券などの購入費助成制度を継続しているほか、国が物価高騰対策として編成した補正予算を活用し、今月末から18歳までの子どもへ1人当たり1万5000円の給付を行い、子育て世帯の負担軽減を図ることとしております。
次に、教育環境の充実では、令和6年度の2学期から、中学校の給食費無償化を開始し、令和7年度からは、小学校を含めた完全無償化の予算を計上しているほか、最近の酷暑対策や避難所としての機能を高めるため、現在、高松、河北台両中学校の体育館と宇ノ気体育館に空調設備の整備を行っており、来月には完成する予定となっております。
そのほか、4月下旬にカフェ併設型コワーキングスペース「つどいの森 かほっくるプラス」を谷公園内にオープンいたしました。カフェスペースでは、平日は、年配者を含め幅広い世代の方に、休日は、子育て世代を中心に、市内外から多くの方にご利用いただいており、既存の「あそびの森 かほっくる」の利用者も増加するなど、文字どおりプラスアルファの相乗効果が表れております。
次に、4本目の柱「健康増進といきがいの創造」についてであります。
保健事業では、これまで同様、特定健診やがん検診などに積極的に取り組み、生活習慣病予防や重症化予防に努めてまいりました。今年度は集団健診を、新しく完成した総合体育館においても実施しており、受診された方々には、施設の運営にあたるコナミスポーツにご協力いただき、体力測定やストレッチの指導を受けたほか、トレーニングルームにおいて、筋力トレーニングやマシンの試乗を行うなど、楽しみながら、自身の健康への感心を高めていただく取り組みを行いました。
予防接種事業では、市の独自事業として、帯状疱疹ワクチン接種費用の一部を助成する制度を継続したほか、感染症の位置付けが5類に移行した新型コロナワクチンの定期予防接種を11月より開始しております。一定の自己負担を伴う接種となっておりますが、65歳以上の高齢者を中心に、希望される方が接種を受けられる体制を整えております。
高齢者や障がい者の福祉の充実については、市の社会福祉協議会内に成年後見制度の「中核機関」を設置いたしました。認知症や知的障害などの理由で、財産管理などの法律行為をひとりで行うのが難しい場合の支援として、成年後見制度に関する相談や制度の利用を促進し、誰もが自分らしく安心して暮らせるよう、相談体制の充実を図っております。
また、3月に予定しておりました、かほく市制施行20周年記念式典を、震災の影響により半年遅れとはなりましたが、9月1日に挙行したほか、12月には、市制施行20周年記念事業の一環として、キャスターの草野仁さんをお招きし、「かほくプラチナ筋力アップ体操10周年記念交流会」を開催しており、約600人の高齢者の方々に参加していただき、体力の維持と健康への関心を高めていただきました。
次に、5本目の柱「安全で安心な暮らしの実現」についてであります。
まず、市民の皆様の安全、安心に関する施策についてでありますが、防災対策では、防災士の育成支援など自主防災組織の活動支援を積極的に行い、地域との連携、協力を頂きながら、防災力の向上に取り組んでおります。また、昨年4月より「防災アプリ」の運用を開始しております。このアプリでは、市から最新の防災情報を受け取ることができるほか、避難所の開設状況や洪水ハザードマップなどが確認でき、災害時には、安否確認にも利用できるため、市民の皆様には、広くご活用いただきたいと考えております。
また、市役所本庁舎の防災・減災対策として、旧北國銀行宇野気支店の敷地と建物を取得し、教育委員会の3課を移転することにより、機能強化を図るとともに、手狭となっている本庁舎の市民待合スペースを拡充する予定としております。
そのほか、交通安全、防犯対策では、グリーンベルトの整備による通学路の安全確保のほか、カーブミラーの設置、区画線の整備、防犯灯の修繕やLED化の推進、また、空き家対策にも順次取り組んでおります。
都市基盤の整備につきましては、生活道路等の改良などに関し、地区や関係機関との協議を行いながら、地震の影響に配慮し、鋭意、工事を進めてきたほか、「かほく東西幹線道路」の整備については、4期目の区間として、県道高松内灘線から、のと里山海道に接続する路線を、都市計画決定するための準備を始めました。この都市計画決定により、都市計画道路の事業効果が高まるとともに、市民の皆様の利便性向上や、災害時の幹線道路の確保について期待できるものと考えております。
そのほか、今ほど申し上げた重点施策以外においても、「第2期かほく市創生総合戦略推進計画」に基づき、積極的に各施策に取り組むことができたと考えております。
また、昨年の第3回定例会でも報告いたしましたが、令和5年度の決算における「実質公債費比率」や「将来負担比率」などの、財政の健全性を示す「健全化判断比率」や「資金不足比率」は、いずれも国の定める基準をクリアし、今後計画する各事業の実施を踏まえても、かほく市の財政の健全性は適正に維持できるものと考えております。
今後の市の展望・まとめ
さて、今後のかほく市の展望についてでありますが、冒頭にも申し上げましたとおり、本市の人口は10年連続で増加する見込みとなっております。まずは、「能登半島地震からの復旧・復興」を最優先に取り組んでいかなければなりませんが、これまでと同様、かほく市のさらなる発展と活性化にもしっかり取り組んで行く必要があります。
そのため本定例会に提出しました、令和6年度補正予算と令和7年度の当初予算は、一日でも早い復旧・復興のための災害関係費用と、将来にわたって持続可能な発展を目指し、かほく市の未来につながる必要な事業について、予算を編成したものであります。
令和7年度は、次期総合戦略「かほく市デジタル田園都市構想総合戦略」の開始年度となる大変重要な一年となります。これまで実施してまいりました「定住促進施策」や「子育て支援策」に磨きをかけ、人口増加の流れを止めることなく、果敢に挑戦を続けていくことがさらなる地域の活性化に結び付くものと考えております。
加えて、復旧・復興に要する経費は、今後も多額の予算を計上していくことが見込まれ、市の財政運営には、今まで以上に「選択」と「集中」に努める必要がありますが、市民の皆様が住み続けたいと感じられるまちづくりを実現するため、今後も積極的な市政の運営に取り組んでまいりたいと考えております。
議会の皆様をはじめ各種団体の皆様、そして市民の皆様には、これまでと同様にご理解とご協力をお願い申し上げ、本定例会に際しましての私の挨拶と致します。
施策方針
それでは、只今から提案理由の説明を申し上げます。
本日ここに、提出致しました議案第1号から第32号までの議案32件並びに同意3件につきまして、一括してその大要をご説明いたします。
まず、議案第1号から議案第10号までの各会計の令和7年度当初予算についてであります。
この令和7年度当初予算につきましては、去る2月14日に開催いたしました予算内示会において、その概要を説明させていただいたところでありますが、いま一度、基本的な部分を中心にご説明申し上げたいと思います。
当初予算の編成方針について
まず、当初予算の編成方針についてでありますが、「能登半島地震からの復旧・復興」を1本目の柱として、取り組んで行く考えでありますが、 そのような中にあっても、市が将来にわたり、持続的に発展していくためには、住みよさの充実に磨きをかける施策にも注力する必要があります。そのため、現在策定中の次期総合戦略「かほく市デジタル田園都市構想総合戦略」のスタートの年として、「住んでよかったと思えるまち、住みたくなるまち、そして、選んでもらえるまち」を目指すことになりますが、先ほど申し上げました「能登半島地震からの復旧・復興」を最優先・最重要課題としながら、「魅力ある持続可能なまちの創造」、「子育て支援の充実と学びの環境づくり」、「健康と生きがいの推進」、「安全で安心な暮らしの実現」、以上の5本柱を機軸として、しっかり取り組んでいくこととしております。
また、令和7年度の当初予算は、令和6年度の国の経済対策に係る補正予算に呼応し、令和6年度補正予算と一体的に編成したものであります。
当初予算の全体像について
次に、当初予算の規模など全体像について申し上げます。
まず、一般会計についてでありますが、予算規模は、196億800万円とし、「骨格予算」として編成した令和6年度当初予算に「政策的経費」を肉付けした令和6年度6月補正予算後の額と比較致しますと、20億9800万円、率に致しまして9.7パーセントの減額となるものであります。
これは、能登半島地震に伴う事業費について、令和6年度予算は緊急、応急復旧工事費及び本格復旧工事費を併せて計上したため多額の予算となりましたが、令和7年度は、令和6年度の事業箇所や事業量を踏まえ、今後、必要となる見込みの復旧・復興事業費を精査の上、計上したことによるものであります。
また、市営バス事業特別会計をはじめとする7つの特別会計の予算総額につきましては、合計で73億7963万円となり、令和6年度6月補正後の予算総額と比較致しますと、3954万5000円の増額となるものであります。
水道事業及び下水道事業の企業会計につきましては、一般会計と同様、災害復旧にかかる経費の減額を見込んだうえ、必要な事業費を計上したものであります。
一般会計の歳入予算の概要について
次に、一般会計の歳入予算の概要について申し上げます。
まず、歳入の根幹であります市税につきましては、令和6年度に実施された定額減税による税収減の影響がなくなることに加え、全国的に景気が回復基調にあり、活発な企業活動を背景に、給与所得者の賃金の上昇が見込まれることから、当初予算額としましては、これまでの最高額となる、46億3764万2000円を計上するものであります。
また、固定資産税、都市計画税につきましても、定住促進策の効果により、住宅建設が堅調であることから、令和6年度を上回る見込みとしております。
地方消費税交付金などの譲与税、交付金につきましては、国の地方財政対策における見込みと令和6年度の歳入状況を勘案し、所要額を計上するものであります。
次に、地方交付税についてでありますが、普通交付税では、国の示す地方財政計画の中で、必要な需要額が確保されていることから、令和6年度とほぼ同額を見込んでおります。
また、特別交付税では、過去の実績を勘案するほか、能登半島地震の災害復旧の対応に係る財政措置分を含め計上し、1億1400万円の増額を見込むものであります。
市債につきましては、令和6年度予算における災害復旧費の一部を令和7年度に繰り越して活用することや、地方財政計画に基づき発行する臨時財政対策債が、平成13年度の制度創設以降、初めて発行額がゼロとなることなどにより、令和6年度と比較致しまして、12億4510万円の減額とするものであります。
令和7年度の主要施策について
続きまして、一般会計の歳出のほか、特別会計を含む当初予算全体を総括した概要について、先ほどの5本柱の重点施策に沿って主な事業についてご説明いたします。
まず、1本目の柱、「能登半島地震からの復旧・復興」についてであります。市では、発災以降、被災された方々の日常を少しでも早く取り戻すべく、復旧事業に取り組んでまいりました。令和7年度においては、特に液状化被害が甚大な大崎地区において、地下水位低下工法と地盤改良工法の2つの工法により実証実験を行い、その結果をお示しした上で、地区住民の皆様のご意見をお聞きしながら、適切な工法の選定と事業を進めるための合意形成を図ってまいりたいと考えております。
また、令和6年度予算の一部を繰り越し、被災家屋の公費解体や宅地復旧など、被災者への直接支援を継続するほか、市内各所で生じたインフラ施設の災害復旧も進めていく予定としております。一方、側方流動の影響により、土地の隆起や境界のズレが広い範囲で生じている大崎地区については、土地境界の画定作業も必要となり、宅地等の復旧は相当の年数を要すると想定しております。今後とも、国や県との連携をしっかり図りながら、一日でも早い復旧に努めてまいります。
また、災害時における飲料水への対応につきまして、本市では、強烈な寒波の影響と震災による水道管の破損により、2年続けて上水道が断水し、飲料水の配布などの対応にあたっております。その際には県内はもとより、県外の自治体から多大なるご支援をいただいたことから、緊急時において市として初動体制を構築する必要があるため、この度、給水タンク車を導入することといたしました。今後、他市町村の災害時にも迅速な協力が可能になるものと考えております。
次に、2本目の柱、「魅力ある持続可能なまちの創造」についてでありますが、先ほど申し上げましたとおり、令和7年度は次期総合戦略のスタートとなる大変重要な年度となるため、これまでのまちづくりの流れを継承し、将来への飛躍につなげていく必要があります。
まず、昨年4月に開館しました、かほく市総合体育館「とり野菜みそ BLUECATS ARENA」につきましては、昨年の震災を経ながら、本年12月に全ての工事が完了し、予定どおり事業の完了を迎える見込みとなっております。これまでご協力いただいた全ての皆様に、改めて感謝を申し上げますとともに、今後とも、スポーツ文化の拠点施設として、最大限の活用を図ってまいりたいと考えております。
また、これまで、定住促進策の柱として取り組んでまいりました「若者マイホーム取得奨励金」、「新婚さん住まい応援事業」につきましては、令和6年度も多くの申し込みをいただいておりますが、令和7年度は、「若者マイホーム取得奨励金」について、中古住宅の取得に関し、助成額を増額するほか、「新婚さん住まい応援事業」については、国の制度を活用しつつ、転居にかかる引っ越し費用についても助成の対象に加え、定住人口の増加につなげてまいりたいと考えております。
次に、「ふるさと納税」への取り組みでありますが、令和6年度より、民間事業者の専門的知見を導入し、寄附に対する返礼品となる、本市の特産品をより魅力的に発信できるよう取り組んでまいりました。令和7年度は、さらなる寄附額の増加に向けて、「かほく市特産品ブランド」として認証しているものに限らず、新たな返礼品の開拓を行い、魅力ある特産品を積極的に発信していくこととしております。
このほか、農業の振興につきましては、国の補正予算に呼応し、引き続き、金津、森、そして上山田・下山田地区における「ほ場整備」を進めていくほか、老朽化が著しい長柄用水の水管橋についても更新に向けた準備に取り掛かる予定としております。
また、令和6年度に過去最大の収穫量と出荷量を記録した「高松紋平柿」についても、鮮度を維持する新技術「スマートフレッシュ」への支援を継続するほか、新たな担い手を確保するため、農業研修への支援や就農時の機械購入支援などに引き続き取り組むこととしております。
次に3本目の柱、「子育て支援の充実と学びの環境づくり」についてであります。
まず、子育て支援策でありますが、こども園については、これまで同様、かほく市独自の事業として保育料の軽減策や、「副食費」の無償化について継続するほか、不妊不育治療費、子ども医療費の全額助成、高校生等の通学定期券購入費助成も引き続き実施してまいります。
令和7年度の新たな取り組みといたしましては、宇ノ気生涯学習センターにおいて運営している「こども家庭センター」内に「こども発達相談支援センター」を設置いたします。これは、現在、ほのぼの健康館にあります「こども発達相談支援センター」と関連の事業を移管し、子育て世代が抱くこどもの発達に対する不安に対し、相談や助言、支援制度に関する窓口を一本化するもので、配慮が必要なお子さんに対する生活への適応力の向上を目指すほか、学校との連携をさらに充実させたいと考えております。
また、利用者が年々増加している学童保育につきましては、特に増加が顕著な宇ノ気地区において、令和6年度には、夏季などの長期休業期間において利用者が増加したことから、「ほのぼの健康館」を臨時的に学童保育室として利用するなどの対応をとってまいりました。今後は、通常期間においても利用者が増加することが見込まれることから、宇ノ気小学校付近で新たな学童保育クラブの施設を整備することを検討しており、令和8年度中の開設を目指していくものであります。
次に、教育への取り組みにつきまして、市では、令和6年度の2学期から中学校の給食費を無償化いたしましたが、令和7年度からは小学校についても拡充し、子育て世帯の負担軽減を図ってまいりたいと考えております。本来であれば、国の積極的関与により、全国一律の実施が望ましいと考えますが、県内他市町の状況や、昨今の物価高騰などに鑑み、完全無償化を実施することといたしました。
また、令和6年度12月補正予算にて、全ての小学校体育館の空調整備に係る設計費を計上いたしましたが、今般、工事費が国の補正予算に計上されたことから、国費の支援が受けられるものとして、今定例会の3月補正予算に計上することとしております。これにより、令和7年度中には市内小中学校の全ての体育館に空調が整備されることとなります。
次に、4本目の柱、「健康と生きがいの推進」についてであります。
まず、市民の皆様の健康づくり施策の一つとして取り組んでおります「かほく健康ウォーキング事業」についてでありますが、市民の皆様一人ひとりの健康への意識が浸透し、楽しみながら歩くことが健康維持、増進に一定の成果をもたらしていると感じており、引き続き取り組んでいくこととしております。
また、個人がそれぞれの課題やテーマを設定し、各種健康づくり活動に取り組んだ方に健康ポイントを付与し、抽選でかほく市の特産品を進呈する「健康づくりポイント事業」についても引き続き実施することとしており、「かほくプラチナ筋力アップ体操」などと合わせて、市民の皆様自らが健康づくりに取り組むきっかけとして、健康への意識向上につながることを期待しているところであります。
予防接種事業では、新たにRSウイルス感染症に対するワクチン接種への助成を実施いたします。RSウイルス感染症は、気管支炎や肺炎などの呼吸器系の疾患を引き起こす要因となり得るもので、特に乳幼児は、そのほとんどが感染し、高齢者においては感染すると重症化する恐れがあります。そのため、河北郡市医師会からのご助言とご協力により、任意接種として妊娠24週以降の妊婦と60歳以上の方を対象に、ワクチン接種に係る費用の一部を助成することといたしました。
また、令和4年度より、市独自事業として実施してまいりました帯状疱疹ワクチンの予防接種が、令和7年度から国の方針により、定期接種となることから、概ね65歳以上の方へ、今後5年間で一回接種できる制度として、市民の皆様へ周知するとともに、積極的に勧奨していくこととなります。
保健事業においては、引き続き、特定検診やがん検診などに積極的に取り組み、生活習慣病予防や重症化予防につなげることとしているほか、がん治療に取り組む患者の経済的、精神的負担の軽減を図ることを目的に、医療用ウィッグなどの購入費に対する一部助成についても継続していくこととしております。
そのほか、高齢者を始め、障がい者、障がい児の福祉の充実、生活困窮者への支援など、これまで同様、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
国民健康保険事業では、昨今の経済事情や社会保険の適用拡大により、被保険者は年々減少しております。また、被保険者層の高齢化や、医療の高度化により、保険給付費は年々右肩上がりの状況であるため、保険税率につきましては、保険事業の収支バランスを考慮した場合、各市町の保険事業の運営状況をもとに県が示す標準税率よりも引き上げざるを得ない状況にあります。しかしながら、本市においては、国の制度改正に伴う保険税額の限度額の引上げや軽減世帯の拡充による低所得世帯への負担を軽減するほか、「国民健康保険事業調整基金」からの繰入れも実施することにより、保険税の上昇幅を抑えたうえで、保険税率の見直しを行うこととしております。
また、介護保険に関する新たな取り組みでありますが、高齢者の方の中には、介護が必要な状況にあるにも関わらず、介護サービスにつながっていないケースが少なからず見受けられ、自立への支援や重度化の防止のため、定期的、継続的なフォローが重要であることから、介護サービスの未利用者へ、ケアマネージャーの積極的な関わり、寄り添いを行っていくこととしました。
また、フレイル予防、認知症予防に効果があるとされる「eスポーツ」につきましても、ゲーム機器を導入し、「いきいきステーション」や「老人福祉センター」での利用を促してまいりたいと考えております。
次に、西田幾多郎記念哲学館における取り組みでありますが、令和7年度は西田先生の没後80年の節目の年となります。これを記念し、特別講演会の開催や書籍の発刊、鎌倉寸心荘への見学ツアーを予定しているほか、7月には8年ぶりに国際シンポジウムを開催することとしております。ここ数年は、コロナ禍により開催を見送ってきたものでありますが、世界の著名な研究者を招聘し、能登半島地震も意識するテーマに思索を深めていただき、日本で唯一の哲学を主体とした博物館「西田幾多郎記念哲学館」を市内外はもとより、海外に発信していくこととしております。
また、令和7年度は、宇ノ気町時代から交流を続けております、ドイツのメスキルヒ市との姉妹都市提携が40周年の節目を迎えることとなります。これまで、10年ごとに記念式典を交互に開催してきたところでありますが、今回は、こちらからメスキルヒ市を訪問し、40年間で築き上げた親交をさらに深めてまいりたいと思っております。近年、日本国外との距離感が以前に比べて近いものとなり、国際的な交流の手法が様々なものとなっておりますが、今後は学校間での青少年交流も視野に入れ、姉妹都市交流に取り組んでまいりたいと考えております。
そのほか、令和4年度から着手しております「市史編さん事業」につきましては、震災の中にあっても、先月には、第1巻目となる「図説編」を予定どおり刊行することができました。今後、令和7年度には「資料編」の1巻目となります「古代・中世」編を刊行し、令和15年度までの10年間で全10冊を刊行する予定としております。
次に、5本目の柱、「安全で安心な暮らしの実現」についてであります。
まず、市民の皆様の安全、安心に関する施策についてでありますが、防災対策において、これまで各町会・区のご協力を頂き推進しております、防災士の養成や自主防災組織の活動の支援につきましては、引き続き実施することとしております。
また、令和7年の秋頃に「石川県総合防災訓練」が本市において実施される予定となっており、行政間の連携強化と、市民の皆様の防災意識の高揚を図っていくほか、市内に、54基設置している防災無線について、情報伝達の機能強化を図るため、更新に取り掛かることとしております。
そのほか、交通安全、防犯対策では、グリーンベルトの整備による通学路の安全確保のほか、これまで同様、カーブミラーの設置、区画線の整備、防犯灯の修繕やLED化などの地区要望に対応するとともに、空き家対策にも引き続き取り組むこととしております。
次に、都市基盤の整備では、社会資本整備総合交付金を活用した道路の改修や雨水の排水対策を進めることとしており、生活道路などに関する地区要望につきましては、災害対応と併行し、市民の皆様の利便性を確保するため、できる限り工事を進めていくこととしております。
上下水道施設の整備に関しましては、管路や浄化センター施設、設備の長寿命化工事を進めていくほか、近年の集中豪雨に対応すべく「内水ハザードマップ」の作成にも取り組んでまいります。
また、脱炭素の推進にかかる取り組みにつきましては、民間事業者向けの太陽光発電導入にかかる経費について、石川中央都市圏での連携事業として支援を行い、再生可能エネルギーの地産地消を加速させていくこととしています。
公共施設の維持、改修につきましては、「ほのぼの健康館」と、「大海交流センター」の改修を実施するほか、施設ごとの長寿命化計画に基づき、緊急性の高いものから順次進めることとしております。
また、行政のデジタル化の推進につきましては、一部に遅れが生じることとなりましたが、戸籍業務を含む4システムについては、国の標準化に合わせて実施する予定のほか、キャッシュレス決済が可能な施設の拡充や、「うみっこらんど七塚」へ施設予約システムを導入いたします。
以上、当初予算に盛り込んだ重点施策の主な内容を中心にご説明を申し上げました。
令和7年度は、「震災からの復旧・復興」を最優先としながら、次期総合戦略のスタート年として、かほく市の未来につながる必要な予算を編成したものでありますので、議員各位のご理解を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
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